何年経っても忘れられない波がある。
サーフィンを長く続けていると、何年経っても鮮明に思い出せる波があります。
僕にとって、その一本はメンタワイで出会った波でした。
その日、仲間たちとサーフィンを楽しんでいた時のこと。
ちょうど僕の周りに誰もいないタイミングで、その日一番と思えるサイズとクオリティの波が入ってきました。
目の前に現れた波を見て、正直、すごい波だなと思いました。
抜けられるだろうか。
そんな気持ちもありました。
でも、それ以上に強かったのは、この波に乗りたいという気持ち。
せっかく目の前に来てくれたチャンス。
行くしかない。
そう思って、思い切ってテイクオフしました。

目の前に現れた、垂直の壁。
テイクオフした先に見えた景色は、今でも忘れられません。
波のフェイスが斜めに広がっているのではなく、垂直にそびえ立つような大きな壁。
その壁にサーフボードのレールをしっかりと入れ、ストールしていました。
それほどディープなバレルではなかったのかもしれません。
でも、僕の目線には、バレルの出口がはっきりと大きく開いていました。
波の壁を感じながら、そのまま走りきる。
そして、抜けた。
「ワオ!」
言葉にすれば、たったそれだけ。
でも、その瞬間の感動は今でも残っています。
世界には、こんなにも素晴らしい波がある。
こんなにも気持ちのいい景色がある。
きっと、まだ僕の知らない海や、もっとすごい波も世界中にあるのでしょう。
それでも、あの日メンタワイで出会ったあの一本は、僕にとって一生忘れることのない波です。

一本の波に乗るのは、一人。
そして、もう一つ忘れられないことがあります。
それは、あの感動を仲間と分かち合えたことです。
波を抜けた後には、「今のすごい波だったね」「抜けられた?」といった言葉が交わされました。
会話そのものは、ほんの短い言葉だったと思います。
でも、その時の笑顔や興奮は、ただの言葉以上のものでした。
人は心から感動している時、表情が変わります。
本当に楽しんでいる時の笑顔には、その気持ちがそのまま表れるものです。
あの日は、そんな格別の瞬間を仲間と分かち合うことができました。
サーフィンは、一人で一本の波に乗るもの。
でも、その喜びは、一人だけのものではないと思っています。
自分の良い波には、しっかり乗りたい。
そして、仲間がチャレンジする時には、その一本を応援したい。
仲間が良い波に乗れたら一緒に喜び、自分が気持ちのいいライディングをした時には、仲間からも「今の良かったね」と声をかけてもらえる。
海から上がった後も、あの波が良かった、あのターンが気持ちよかったと話が尽きない。
僕は、そんなサーフィンの時間が大好きです。
まだ知らない波が、世界にはある。
あの一本を経験して、またメンタワイへ行きたいという気持ちは、もちろん今も変わりません。
そして、まだ知らない場所でもサーフィンをしてみたい。
ただ良い波を求めるだけではなく、そんな体験を分かち合える仲間と一緒に旅を続けていきたいと思っています。
サーフィンを続けている限り、これから先にも、忘れられない一本との出会いがあるのかもしれません。
皆さんにも、何年経っても忘れられない波がありますか。
そして、これからどんな波に出会ってみたいですか。
そんなサーフィンの話も、EVOLVEで一緒にできたら嬉しいです。
Hiroyuki Maeda / EVOLVE FUTURE SHAPE
Photos by ALAIA MENTAWAI



